EV電費の各社公表値の整理と、筆者所有のリーフの電費の実測値を求める。
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(The latest update: 2023年9月18日)
(First upload: 2019年11月25日)
EVの歴史
EVの歴史は古く1800年代に遡る。 近代的なEVの一つはヘニーキロワットで、電波技術1960年11月号p141に紹介された記事では蓄電池搭載の様子がわかる。1959年型では使用電池は鉛蓄電池で一般家庭のコンセントへ接続するだけで充電できる。蓄電池が自動車の後部に18個、フードの下に18個設置されている。これによって7馬力のモータを駆動する。最高速度56km(Wikipediaでは64km)、航続距離64km。
EVの普及予測
EV普及予測を見ると、国際エネルギー機関(IEA)のGlobal EV Outlook 2019を参考にしてEV(Electric Vehicle; 電気自動車)の将来見通しをみると、新政策シナリオでは2030での全世界EV販売見通しを2300万台と予想している。国際イニシアチブEV30@30はは2030年までに新車販売台数の30%を電気自動車にすることを目指している。 また、2018年時点のPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle; プラグインハイブリッド電気自動車)を含むEV普及台数及び普及率を国別にみると、中国約100万台、5%、米国、欧州共に各々約35万台、2.5%、欧州2.5%であるのに対して、日本は約5万台、1%となっている。 また、EVは従来のICEに比べてWTW GHG を2030年時点において半減させるとしている。
注1) WTW GHG (Well To Wheel GreenHouse Gas):原料の採掘から走行までの温室効果ガス排出の総合指標
注2) ICE(Internal Combustion Engine): 内燃エンジン
世界で発売されているEVの電費(各社公表値ベース)
EVの電費(km per kW hour)を以下の方法で計算する。各メーカ発表のバッテリー容量(Battery Capacity)とEVモードでの航続距離のデータに基づいて、横軸にバッテリー容量(kWh)、縦軸にEVモード航続距離(WLTP換算)をとってグラフ化すると、その勾配が電費を与える(2019年10月時点)。下図のように
となっているので平均で約6km/kWhが得られている。
測定方法(NEDC、EPA、WLTP、WLTC、JCO08)を合わせるために、ここではDavid Roper氏の次の換算式に従ってNEDCとEPAをWLTCに換算する。また、日本で多く使用されているJCO08の約0.8倍がWLTCとみなすことができる。

参考:測定方法
WLTP: Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure
WLTPは、4測定項目(市街地モード,郊外モード,高速道路モード,さらに速いモード)での燃費が表示される。
WLTC: Worldwide harmonized Light vehicles Test Cycles
WLTCとWLTPとの違いは、WLTCはWLTPの4測定項目から”さらに速いモード(最高速度が131㎞/h)”を削除したモードで日本で用いられる。
NEDC: New European Driving Cycles
NEDC7/は欧州において1992年以降に採用された乗用車等(軽量車)の排出ガスや燃費評価に用いる新しいテスト・サイクル。
EPA: Environmental Protection Agency
米国の環境保護庁であるEPAの測定基準に準拠した測定方法で米国で用いられる。最も厳しい。
JC08モード: 日本での従来の測定方法
グラフに掲載した車種

EV(リーフ)の電費(実測)

EVの代表格であるリーフの電費を市街地走行、住宅地走行、長距離一般道/高速道の場合を中心として実測した(エコモードON)。
市街地走行、住宅地走行の場合の特徴は、発進停止回数が多いこと、比較的低速走行が多いこと、地域あるいは建物の駐車場によっては起伏が多いこと等であり、これらはいずれも電費を悪化させる要因となる。
一方、比較的長距離の一般道(最高制限速度60/70km/h)、高速道(最高制限速度800/100km/h)では定速走行が多いので電費は伸びる。実測値の平均で約9km/kWhという優れた電費となり、"Nissan Connect"では”最高の運転です!”という評価が得られている。
- 定速60~80km/h程度で走行すると電費は向上する。
- 発進停止や登り坂が多いと電費は低下する。
- エアコンを使用すると電費は低下する。
以下の実測は市街地/住宅地と長距離一般道/高速道とを含んでいるので、両者の割合によっても電費は変化する。
測定には日産のウェブサイト”Nissan Connect”を用いた。次のデータのようにエアコン(暖房、冷房)使用の有無の影響が大きい。エアコン(暖房、冷房)をほとんど使用しない月(10月、11月、4月、5月、6月)の平均電費は約7.7km/kWh、一方、エアコンを使用する頻度の高い月(12月、1月、2月、7月、8月、9月)の平均電費は約6.5km/kWhという結果となった。エアコン(冷房、暖房)を使用しない場合の電費7.7km/kWhは概ねWLTCモードによる日産公表数値(320km/40kWh、8km/kWh)に近い値となっている。また、上記の”世界で発売されているEVの電費(各社公表値ベース)"における平均的EVの電費6km/kWhよりかなりよい数値となっている。

大阪モーターショー2017
2017年12月8-11日に開催された大阪モーターショーは、EV+AI+自動運転という将来の方向性を示しており注目された。下の写真はEV2車で筆者撮影。
日産リーフ(フルモデルチェンジ直後、2017年10月2日発売)。

テスラのモデルX(ガルウイング、2016年9月16日発売、写真奥)。

入場者は長蛇の列。

EVの販売台数
EV(PHEV含む)の販売台数統計ウェブサイトはココ。
この中で2021年のBEVをみると、トップはテスラのモデル3。全世界トップ20に入っている日本のモデルは日産リーフ(第12位)のみ。