EV急速充電の場合について、30分あたり充電量(Battery charge amount for 30 minutes)を測定する。
充電方法には急速充電と普通充電(例えば一般家庭用の充電専用電源)があるが、ここでは、急速充電器(30kWh、44kWh、50kWh)を用いて30分間充電した場合の充電量を求める。
急速充電器の一例は下の写真。
(The latest update: 2023年9月25日)
(The first upload: 2019年12月20日)

充電量は電池の全容量に対する割合(%)で表す。例えば充電開始時点の電池残量が35%で30分後の電池残量が86%とすれば充電量は51%となる。充電後の電池残量の上限は90%強で制限が設けられているように見える。また、気温については、急速充電器の温度センサーやEV内部の電池の温度を測定することはできないので公表されている気温(外気温)を採用する。これらのことから次のような基準とする。
- 充電終了時の電池残量90%以下のデータのみを採用する。
- 気温としては、気象庁が公表している測定日時の気温(または日平均気温)を用いる。厳密な意味での充電中の電池の温度ではないが概略の値として用いることができる。
充電量 vs. 充電時の気温 vs. 充電開始時の電池残量
下の図は筆者所有のEVにおいて測定した充電量(Battery charge amount)と充電時の気温と充電開始時の電池残量(Remaining battery level at the start of charging)の関係を3D表示で示したものである。横軸は気温、縦軸は充電量、奥行きは充電開始時の電池残量である。ここで充電開始時の電池残量を3段階(青色: <40%、黄色: ≥40%でかつ<50%、桃色: ≥50%)に分類している。

- リチウムイオン電池を使用するEVの場合、単位時間当たりの充電量は、気温が低下すると減少し、気温が上昇すると増加する。例えば、電池残量32%のとき気温25℃/31℃では充電量50%であるが、気温15℃では45%に低下する。
- 同じ気温でも充電開始時の電池残量が少ないと充電量は多くなり、充電開始時の電池残量が多いと充電量は少なくなる(充電上限からみて余裕がある場合でも)。例えば気温8℃の場合、充電開始時の電池残量41%の場合の充電量は37%、充電開始時の電池残量51%の場合の充電量は30%と計測されている。
上記のことをより明解に示すため充電開始時の電池残量を3段階(青色: <40%、黄色: ≥40%でかつ<50%、桃色: ≥50%)に分類して充電量と気温との関係を下図に示す。
- 充電開始時の電池残量が多いと充電量は少なくなる。
- 単位時間当たりの充電量は気温が低下すると減少し気温が上昇すると増加する。

充電量 vs. 月平均気温
下の図は、月単位に整理した平均気温と充電量との関係を示している。棒グラフ(青)は充電量(%)で単位はグラフ左側に表示しており、折れ線グラフ(オレンジ)は外気温(°C)を示し単位はグラフ右側に表示している。

充電量 vs. 充電時間(経過時間)
以上のように急速充電の充電量は充電開始時の電池残量や気温によって変化する。ここでは充電開始からの充電時間(経過時間)に着目して充電開始の電池残量32%、34%、36%、45%、51%の5通りの場合について充電量との関係を調べた。A)(レッド)充電開始時の電池残量32%、充電535%、気温31℃
- (レッド)充電開始時の電池残量32%、充電量53%、気温31℃
- (グリーン)充電開始時の電池残量34%、充電量52%、気温31℃
- (ブルー)充電開始時の電池残量36%、充電量45%、気温20℃
- (イエロー)充電開始時の電池残量45%、充電量34%、気温7℃
- (ピンク)充電開始時の電池残量51%、充電量31%、気温8℃
気温が高いほど、また充電開始時の電池残量が少ないほど、充電量が大きいことがわかる。
参考1: 登美ヶ丘近郊の急速充電器設置場所
急速充電器は容量によって違いがあり、大容量(44~50kWh)、中容量(20~30kWh)等がある。登美ヶ丘近郊にも日常的に利便性のよい場所に設置されている。次の図は容量30~50kWhの急速充電器の設置場所を示している(2022年8月21日)。50kWhの急速充電器を赤で、44kWhの急速充電器をオレンジで、30kWhの急速充電器を黄色で示している。大容量の急速充電器のほうが短時間で充電することが可能である。急速充電器の数は登美ヶ丘地区では十分だと思われる。また高速においてもサービスエリアに急速充電器が設置してあり不自由を感じたことはない。

参考2: 普通充電(一般家庭での充電)
一般家庭で充電する場合、通常200V15Aの専用コンセントとブレーカを用いる。
屋外の壁面に設置した200V専用コンセントの一例を示す。

電圧は実測で204V。

屋内に設置したEV専用200Vブレーカの一例。
